ベジェリンがアルテタの戦術にフィットしない理由
ー戦線復帰後も苦悩が続くエクトル・ベジェリン。ミケル・アルテタの求める右サイドバック像に合致しないことは認めざるを得ない。
アルテタ監督は就任後、特徴的なフォーメーションを導入した。
4-2-3-1を基盤としたそのシステムは一定の法則にしたがった変化を見せる。
- 左ウイングが内側にシフト
- 左バックが高い位置にシフト
- 左のCMFがサイドにシフト
- 右バックが中央にシフト
戦術的に高度で明確に決められているアルテタ監督の戦術を非常に単純化して説明すると上記のようになる。
この戦術の中では各ポジションの選手が特定のタスクを持っており、このような戦術の中でプレーできる選手はそう多くはないだろう。
そしてベジェリンはこの戦術の中で苦労する選手の1人だ。
ベジェリンは1月下旬にケガから復帰し先発で起用されている。
それ以来彼はコンディション調整に苦しんでおり、未だに患部に痛み止め打ってプレーをせざるを得ない。
ベジェリンのプレーとアルテタ監督が彼に求めるプレーとの間には大きな隔たりがあり、ベジェリンがアルテタ監督の戦術にフィットするかを疑問視する者も多い。
アルテタ監督は右サイドバックにポゼッションを促進する役割を求める。
中央にシフトし、最終ラインからボールを受けてより高い位置にボールを送る。
この役割は空間察知能力、視野の広さ、高いボールスキルを要するのだ。
ベジェリンのボールタッチと前方へのパスにはルーズな部分があり、狭いエリアでのプレーがあまり得意ではない。
アルテタが当初右サイドバックに起用していたメイトランド=ナイルズの技術レベルと比較すると対照的である。
メイトランド・ナイルズは中盤でのプレー経験を活かしてスペースを作り出し、そこで慣れた様子でプレーをしていた。
しかしベジェリンににとっては全く新しい役割で、苦戦する様子が見受けられる。
そしてベジェリンは自身の最大の特徴を発揮できずにいる。
卓越した運動能力を生かした前線へのオーバーラップがなければ彼は輝きを見せられない。
しかしアルテタ監督は右サイドバックに守備バランスを維持する役割を求め、攻撃的な役割を左サイドバックに求めている。
このアルテタの要求は人選により変わる可能性もある。
生粋のウィンガーであるブカヨ・サカが現在左サイドバックでプレーをするが、 キーラン・ティアニーの復帰によりオーソドックスなサイドバックの起用法をするかもしれない。
そうなればベジェリンは以前のように攻撃的なサイドバックとしてプレーするだろう。
断言するのは時期尚早かもしれないが、アルテタ監督のシステムにおける右サイドバックの役割とベジェリンの能力に全く互換性がない。
右サイドバックのレギュラーが変わる可能性を否定することはできないだろう。
Andrew Dowdeswell
Héctor Bellerín - Player profile 19/20 | Transfermarkt
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