2019年の決算情報 少し厳しい財政事情の分析
決算情報をかなり詳細に分析した記事を見つけたのでその紹介をしたいと思います。
ー以下記事の紹介
概要
18/19シーズンのアーセナルはプレミアリーグで5位に終わり、ヨーロッパリーグ決勝ではチェルシーに敗れ準優勝という結果となった。そしてまたもやチャンピオンズリーグ出場権を逃すこととなってしまった。
FAカップは第4ラウンド敗退、リーグカップは準々決勝敗退と国内カップ戦の結果も鳴かず飛ばずである。
チャンピオンズリーグ欠場とその他の大会での成績不振により財政が切迫し、2018年に5700万ポンドあった利益が2019年には2700万ポンドの損失となった。18年の利益は主に得た1億2000万ポンドもの移籍金収入によるものであり、19年には高額の選手放出がなかったことも赤字に陥った原因の一つだ。
収入分析
17/18シーズンから続くCL欠場により、過去最高を記録した2017年の4億2400万ポンドの収入には二年連続で届かず、19年の収入は前年の4億100万ポンドからさらに2%減少した3億9300万ポンドとなった。
マッチデー収入
マッチデー収入(チケット代など)は成績低迷と国内カップ戦の早期敗退によるホームゲーム数の減少により、9600万ポンドと前年から1%の減少。
平均リーグ観客数は前年比1%増の5万9833人であった。
19/20シーズンもELに出場し、なおかつベスト32で敗退したため2020年のマッチデー収入は再びの減少となりそうだ。
放映権収入
ELでの決勝進出により放送権収入は前年比2%増の1億8300万ポンド、そのうちプレミアリーグからの収入は1億4200万ポンドである。
18年の28試合のテレビ放映から19年は25試合に減少したため、PLから得た収入は6位で終えた18年と同額であった。
ELからの収入は3900万ポンド。昨季CLグループステージ3位に終わり、ELベスト16で敗退したインテルは4800万ポンドを稼いでおり、CLとELの大きな格差がうかがえる。
ELの早期敗退と今季のPLでの苦戦により2020年の放映権収入が一段と減少する可能性は否めない。今季終盤に挽回しCL出場権を獲得できれば、2021年の収入は増加するはずだ。
商業収入
商業収入は新たな袖スポンサーのVisit Rwandaにより前年の1億700万ポンドから1億1100万ポンドとなり4%の増加。
近年の成績低迷によりVisit Rwandaのような新たなスポンサーを見つけるのに苦戦を強いられている。またCL欠場によりスポンサーからのボーナスも大きく減少している状況。
しかしアディダスとの新契約により2020年の商業収入は大幅に増加するはずであり、ライバルクラブに財政面で遅れをとらないためにもこのよう契約が今後も必要になるだろう。
その他の収入
その他の収入は前年の1500万ポンドから300万ポンドへ80%の減少。
18年の収入の大部分は1500万ポンドの不動産売却による。
今後の見解
成績低迷による収入減少に苦しんでいる。
アディダスとの契約による商業収入の増加により2020年の収入は増加する可能性が高いが、ELの早期敗退による放映権収入とマッチデー収入の減少によって相殺される部分もあるだろう。
そして来季のCL出場権を逃した場合2020年の収入も厳しいものとなるはずだ。
費用分析
19年のアーセナルは、収入の減少による損失回避のためコスト削減を敢行。
営業費用は前年の4億4500万ポンドから4億2800万ポンドに4%減少したものの、選手放出額の減少により19年は赤字に陥った。
支払利息
19年の純利息費用は前年の900万ポンドから1200万ポンドへ33%の増加。
外国為替の値動きが不利に働き、支払利息が増加した。
人件費
人件費は前年の2億4000万ポンドから2億3500万ポンドに2%の減少。
18年はヴェンゲルと彼のスタッフ陣の退任により1700万ポンドの追加的な費用が掛かったため、人件費の上昇がみられた。19年のそうした追加的費用は300万ポンドであり、実際の給与負担は増加している。
収入に占める人件費の割合は59%であり、他のビッグクラブと概ね一致する。
経営陣、フットボールディレクターのサラリー合計は前年の430万ポンドから400万ポンドに減少。
19/20年の選手の給与水準を考えると20年の人件費は上昇の可能性が高い。しかしウェルベック、ラムジー、リヒトシュタイナー、モンレアル、コシエルニーなどの放出は19年の新加入選手の高い給与負担をある程度相殺するだろう。
オーバメヤンなどのスター選手と契約延長をした場合は人件費が増大する恐れがあり、収入を増加させなければ、今後高額なサラリーを支払うことが難しくなるはずだ。
また、エメリの解任にかかる補償費用が20年には発生する。彼の契約は今季までとなっていたため高額ではないが、追加的な費用がいくらかかかる。
今後の見解
昨夏の移籍市場での活発な動きにより、賃金が大幅に上昇する可能性がある。そのため高サラリーの選手を放出する必要性に迫られるかもしれない。
アディダスとの新契約が収入を底上げしており、コストを維持できれば利益を改善できるはずだ。ただしコストが増加すれば損失を増大させる可能性もある。
CL欠場がいかに財政を切迫しているかが見て取れますね。
来季の出場を逃したらエジルやオーバメヤンなどの高給取りを何人か放出せざるを得ない気がします。
今後コロナウイルスの影響で無観客試合やリーグ戦中止となると経営的にはさらに厳しくなると思います。(その場合は他クラブも同様ですが)
今夏の移籍市場で獲得に回せる予算がどれくらいになるか気になるところです。
昨日の記事
ベジェリンがアルテタの戦術にフィットしない理由 - アーセナルHUB
参照記事